有明一番摘み　竹内海苔

松原で海苔屋を営み続けて

竹内海苔は昭和44年に父が創業し、場所は変わりますがずっと松原で営んできました。最初はお寿司屋さんに海苔を卸す小さな卸売の商店から始まったそうです。そこから、お寿司屋さんの要望でお客様向けのお中元にと味付け海苔を少しづつ作り出し、間口を広げていきました。

親子で守り抜いた、小さな穴

竹内海苔では有明の海苔を使用しています。有明の海苔は、日本で一番の干満の差が支柱に固定された海苔網を1日1度干出させ日光をたっぷり浴びるので、口にした時にとろけるような感触と風味が生まれるんですね。うちは、その中でもひときわ柔らかくて美味しい一番摘みだけを使っています。海苔に小さな穴がぽつぽつと空いている、これこそが一番摘みの証。昔は、お寿司屋さんでこの穴はご飯の巻きづらさからB級品として扱われていたそうですが、父はその当初から穴の空いた海苔の美味しさに目をつけ、味付海苔に生かすことを考え出しました。穴の空いた海苔を売り出すことは、竹内海苔がぶれずにやってきたことの一つです。

こだわりはダシにも

こだわりは、「小さな穴」だけではありません。味付海苔につけるダシも全て無添加です。ダシ屋が驚くほどの昆布・鰹節・海老を入れ、使用する醤油も「本醸造醤油」。こうしてできた高価なダシをさらに濃くなるよう濃縮させています。竹内の味付海苔は、「有明一番摘み海苔」「こだわりのダシ」を軸にしています。当然、値段も安価ではありません。そのため、小売店には卸さず直売のみという販売方法をとっています。

海苔らしからぬ、お洒落なデザイン

父から私の代に変わり、工場の建て替えを機に2014年頃、念願の直売店を建てました。海苔社会はかなりの男性社会。でも竹内海苔の従業員は今全員女性なんです。それってすごくこの世界では珍しいこと。それならば、それを逆手にとって、直売店のみならずパッケージやロゴなどのブランディングを「女性目線で良いと思えるものにしよう！」とデザインを一新しました。海苔を購入されるお客様も圧倒的に女性の方が多いですしね。

受け継ぐものと、変えていくもの

今はネット販売や道の駅にも置いていますが、とても有難いことにわざわざ直売店に足を運んで来てくださるお客様も多くいらっしゃいます。顔と顔を合わせて売る、父の代から通して来た地域に根ざしたこのスタイルはこれからも変えずにいきたいと考えています。私は生まれてこのかたずっと松原なんですが、松原ってこれといって特別な場所ではないですよね（笑）けれど、だからこそ、その場所に何かスポットになるものを作りたい。竹内海苔もそんな場所にしたい。そしてゆくゆくは松原以外の地域にも知っていただけるようなブランドになることを目指しています。